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Limpido

設計主旨

    敷地は山々に囲まれた住宅地に位置し、2階のどの部屋からも青空や周囲の山々を眺め楽しめるよう考えました。敷地面積100㎡未満、建蔽率40%の制約の中でも、中庭を設けることで豊かな内部空間を実現しています。建物に入った際に出迎えられるような感覚を味わえるよう、 玄関正面に大きなFIX窓を設け、その先にテラスと中庭を眺められ、中庭の奥には横ルーバーを設置し、
    外部からの視線を遮りながらも光と風を取り込める空間を配置しています。中庭に面する3面をガラス張りとし、窓に太陽や空、山々の緑、ルーバーなどの景色が映り込むことで、 虚像が生まれ、変化のある空間を演出しています。また、ウォークインクローゼット(WIC)と便所を除くすべての室に中庭に面した窓を設けることで、中庭に降り注ぐ光が各部屋に行き渡り、各部屋に連続性をもたせ、どこからでも広がりを感じられる空間となっています。 中庭を通じて、他の部屋や階にいる家族の気配を感じ取ることができます。一般的には、狭小住宅では人が通るだけの廊下の面積をできるだけ抑える傾向がありますが、あえて中庭を囲むように長い廊下を設けることで、廊下も一つの大きな空間の一部として感じられるように考えました。 建物全体が中庭を含めて一つのワンルームのように感じられる内部空間となっています。 リビングと寝室は上部の欄間の窓でつながり、2階のWICの壁は天井まで伸ばさず欄間の窓下までの独立壁とし、LDK・WIC・寝室の天井をU字型に連続させることで、一つの空間の中にWICのボックスが挿入されているような感覚を強調しています。 さらに、WICには落ち着きのある色彩を加え、空間のアクセントとしています。2階の天井には木毛セメント板を採用し、外部の庇の構造と連続した垂木や隅木、梁・柱をあえて見せ、木の構造体が持つダイナミックな空間を感じられるようにしています。 一方、外部に圧迫感を与えないよう、道路から建物を見上げた際に、建物の中に空と緑が見えるように中庭と窓の配置を工夫しています。見上げる角度や距離の違いにより、空や山の緑の借景の切り取り方に変化をもたらしています。 ローマのパンテオンの天窓を見上げたときのように、どこか神秘的で非日常的な感覚を与える効果を期待しています。玄関上部の欄間部分を窓とし、階段を垣間見せることで、外部からでも浮遊感のあるデザインと上下移動の動きを感じ取れるようにしています。