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Legame

設計主旨

    建主は老夫婦で、自宅を建て替えたいとの依頼がありました。建主からの要望は、足腰に負担がかかる階段は極力避けたいこと、庇を設けること、そしてLDKと隣接した座敷、その他に主寝室と和室の所要室を設け、LDK・座敷・主寝室・トイレへの動線が短いことでした。 LDK・座敷・主寝室・トイレの動線を短くするためには、各4つの室を田の字型住宅のように配置し、その中心部から各室にアクセスできるようにすれば良いと考えました。各室に囲まれて光を失うその中心部には、天窓を設け、壁面に反射した柔らかな光を注ぐようにしています。 そこに廊下を接続することで、廊下からの各室への単独アクセスも可能としています。
    一番長く寛ぐであろうLDKは、座敷を隣接させ、和室を双方の窓ガラス越しに眺められるようにしています。3つの空間をつなげ、縁側と軒裏を介して外部空間も取り込むことで、 水平方向の広がりを体感できるように計画し、別の空間に居ながらも気配が感じられるようにしました。LDKと座敷の天井は左右対称の垂木現しの傾斜天井とし、リビングと座敷の仕切り戸の上部をガラスとすることで、あたかもひとつづきの部屋のように感じられ、 一体感と垂直方向の解放感を生み出しています。北側に山が望め、南側には田園風景がのどかに広がる場所であることから、座敷、LDK及び和室に大きな開口部を設け、これらの風景を屋内に取り込むことで、季節の移ろいを楽しめるようにしています。 敷地が広く開けた土地であったため、平屋建てとし、軒裏と廊下及び和室の天井は同一レベルに揃えて、南側からの水平ラインが美しくなるように意識しています。それにより、和室と玄関ポーチの天井の奥行きが増し、広がりがある伸びやかな空間が広がります。 玄関ポーチの横の縦格子のルーバーフェンスが来客者のアイストップとなり、玄関扉上部の欄間窓ガラスを介して軒裏から玄関奥まで続く天井面が見えることにより、来客者を建物内に入りやすいように計画しています。 和室からLDKにかけて水平連続窓が広がり、屋内から南側の道路を行きかう人々も視界にはいりますが、緩やかな斜面地により生まれた南側道路面と内部床の約90cmの高低差と、前庭を造ることで確保された道路からの距離により、 道路からの視線はそこまで気にならないようになっています。南北に開かれた窓により光と風が通り抜け、屋内と外部を心地よくつなげる建物です。